『あやうく一生懸命生きるところだった(文・イラスト:ハ・ワン 訳:岡崎暢子)』レビュー

どんな本??

文・イラスト:ハ・ワン 訳:岡崎 暢子

ハ・ワン
イラストレーター、作家。
1ウォンでも多く稼ぎたいと、会社勤めとイラストレーターのダブルワークに奔走していたある日、
「こんなに一生懸命生きているのに、自分の人生はなんでこうも冴えないんだ」と、
やりきれない気持ちが限界に達し、40歳を目前にして何のプランもないまま会社を辞める。
こうしてフリーのイラストレーターとなったが、仕事のオファーはなく、
さらには絵を描くこと自体それほど好きでもないという決定的な事実に気づく。
以降、ごろごろしてはビールを飲むことだけが日課になった。
特技は、言い訳つけて仕事を断ること、貯金の食い潰し、昼ビール堪能、などがある。
書籍へのイラスト提供や、自作の絵本も1冊あるが、詳細は公表していない。

岡崎 暢子
韓日翻訳・編集者。1973年生まれ。
女子美術大学芸術学部デザイン科卒業。
在学中より韓国語に興味を持ち、高麗大学などで学ぶ。
帰国後、韓国人留学生向けフリーペーパーや韓国語学習誌、韓流ムック、翻訳書籍などの編集を手掛けながら翻訳に携わる。
訳書に『Paint it Rock マンガで読むロックの歴史』、翻訳協力に『大韓ロック探訪記(海を渡って、ギターを仕事にした男)』(ともにDU BOOKS)など。

内容紹介

【「心が軽くなる」と話題の韓国のベストセラーエッセイ】
★韓国大手書店 KYOBO文庫「2019年上期ベスト10」
★韓国のネット書店YES24「2018年最高の本」
★「人生に悩み、疲れたときに立ち止まる勇気と自分らしく生きるための後押しをもらえた」
――有安杏果さん推薦!

東方神起のメンバーの愛読書としても話題となった、
心がラクになる、ベストセラー人生エッセイがついに邦訳!

「こんなに一生懸命生きているのに、
自分の人生はなんでこうも冴えないんだ」と、
やりきれない気持ちが限界に達し、
40歳を目前にして何のプランもないまま会社を辞め、
「一生懸命生きない」と決めた著者。

★ムリしてやる気を出さない
★みんなに合わせない
★金持ちを目指さない
★失敗したら、いさぎよく諦める
★なんでも深刻に向き合いすぎない
★「年相応」に縛られない
★「やりたい仕事」を探そうとしない
★何もしない一日を大切にする……

全力で走り続けることを辞めたことで見えてきた、
自分をすり減らす毎日から抜け出し、
自分らしく生きるコツとは?

(amazon サイトより引用)


装丁に目を惹かれた一冊!

書店で見かけ、装丁に目を惹かれ手に取り、内容も興味をそそられ購入しました。
さすがイラストレーターの著者だけあり、イラストがとっても可愛い!
構図、色使いがとても素敵なのです。
線と面の使い方で程よくぬけ感もあり、リラックスした絵にこちらの心もほぐれます。
文章も優しい語り口でとても読みやすいです。
所々に日本の漫画や映画、小説のことについても触れており、嬉しく思いました。

ゆるくて可愛いイラスト!色使いも素敵。
章の扉絵。写真だとわかりづらいけれど、ピンクの地に紺色の文字の配色が可愛い
扉絵後ろのこのページも可愛くて好き!

現代の多様な価値観の中で溺れる私たちに響く言葉たち

著者の経験から感じられたことを中心に語られています。
共感、共感、共感の嵐!!
「頑張ること」「より良い暮らし」「理想的な完璧な自分」
そういったものが良しとされている世の中。
確かに、昔は「終身雇用、マイホーム、結婚して家族を持ち、暮らすこと」
が多くの人にとってのモデルケースとされ目指されていただろう。
インターネットの普及だったり、目まぐるしく変わり発展していく技術、
その技術の恩恵を受け変わっていく社会。
終身雇用の終焉が見えてきた中で、あらゆる「働き方」が出てきて、多様化していく社会生活。
選択の自由は時に私たちを不自由にさせ、「この生き方で幸せなの?」かどうかわからなくなる。
他人と比べて、「自分はあの人より幸せ?」「あの人は自分より幸せそうだ」などと、
自分の幸せが迷子になって、不安になり、落ち込む日もたくさんある。

そんな時に、著者の実際に経験したことを基に紡がれる、等身大な言葉たちに
わたしたちは勇気をもらえる。

走り続けて疲れた心に沁みる一冊です!

読んだ感想

心に響いたところ

1章の中から響いた言葉たちを紹介していきます!

何もない自分は負け組だ・・・・
そうだ。他人をうらやんだら負けるのだ。
だから、うらやんではいけない。
「負けた」という感情ほど惨めなもにはないから。
うらやましいと思わなければ敗北もない。

ところで、誰に負けているのだろう?

(第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない より)

何のために必死に頑張っているの?
誰が一番お金を稼ぐかでしょう大会?
誰が一番最初に家を買うでしょうか大会?
誰が一番出世するでしょうか大会?
(第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない より)

最近、ずっと考えていたことだった。
「何者かになりたい!!」
SNSで知る有名人、キラキラした人たち。そんな人たちと較べて落ち込み、
「所詮、自分にはできないし才能も何もないし」と行動をしない言い訳に。
だってね、心底うらやましんですもん!!!うらやましいの!!!
自分もキラキラしたい!そんな願望、みんなあるよね??

改めて考えてみると、僕らは小さい頃から精神論を刷り込まれてきた。
「一生懸命やりなさい」
「頑張らない者は何事も得られない」
「努力なしに得た成功は成功じゃない」

必死に努力したからといって、必ずしも見返りがあるとは限らない。
必死にやらなかったからといって、見返りがないわけでもない。
そうだ、僕らが信じてきたこととは違い、人生とは実に皮肉なのである。

小さい頃から教育されてきた「努力、根性論」
大人になるにつれて、「努力したからといって成功するわけじゃないんだ」
という現実と向き合うことになるのです・・・
だったら小学生の頃から教えて欲しかった。

「人生マニュアル」を捨てて自分らしく
自分の人生なのに、自分の気持ちなのに、どうして他人の評価によって大丈夫だったり大丈夫じゃなかったりするんだろう?
みんなが正しいと信じる価値観に同意しない者への暴力。
なぜ周りに倣わない?説明してみろよと。

本当に恥ずべきは、この年で何も持ち合わせていないことではなく、自分なりのポリシーや方向性を持たずに生きてきたという事実かもしれない。
これまでほしがってきたものは全部、他人が提示したものだった。
(第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない より)

そう、自分に向き合って、「自分にとっての幸せ」を考える必要があるんですよね。
そこが難しいのだけど、避けては通れない。
避けても避けても、問題は迫ってくる。。。

賢明なあきらめには、勇気が必要だ。
失敗を認める勇気。
努力と時間が実を結ばなかったら、潔く振っ切る勇気。
失敗しても、新たなことにチャレンジする勇気。
我慢して闇雲に努力することだけが能力ではない。
(第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない より)

失敗はみっともないから、認めたくない。
かっこ悪い自分になりたくない。(本当はかっこ悪いことにも気付いているけど、そんな自分を見たくない)
失敗は悪!だめ!よくない!!!情けない自分を見たくない!!
そんな気持ちに支配され、どんどん行動しなくなったり、生きづらさを感じてしまう。

うまくやりたい、失敗したくない。
力むというのはつまり柔軟ではないということ。恐れがあるということだ。
僕らは、力まずには生きられない。
力を抜けば倒れてしまうと思い、さらに力む。
恥ずかしいが、僕も怖くてずっと力を抜くことができなかった。
力を抜くとはつまり、リラックスで、柔軟で、自然体で、欲を出さないこと。
それができず、今までの人生を必死に生きてきた。
(第1章 こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない より)

この言葉たち、響く方はたくさんいるんじゃないかな?
力を抜くと倒れてしまうから、踏ん張って、力んで、本当の自分を抑えて・・・
もうそろそろ、楽に生きて生きたい。
私もそのうちの1人です。。。

読んだ感想

頑張れなくても、いいんだって思えた

タイトルからもわかるように「頑張らなくてもいい」ことを教えてくれる。
言われたいけど、なかなか言われない言葉。
「あの人は自分よりもこんなに頑張ってるのに、自分なんてこんなことで音をあげて・・・」
などと思うことがよくある。
でも、もういいのです!
生きてるだけで、すごくない??!って思う。
働いて、お金を稼いで、生活していく。
これだけで十分すごいこと、頑張ってること。
そもそも、頑張る=正しいことなのか??
頑張りすぎた結果、自分の心身が壊れてしまうこともあるのに・・・

頑張らなくても、いい。
でも、頑張ってもいい。
どちらでもいい、自分のペースで、自分が何に幸せを感じるのか?
本心はどこにあるのか?
そういうことを改めて考えていくことの大切さを改めて学びました。

自分らしく、自然体で生きていくこと

これが何より難しい!!
自分のことをすごいヤツだって思いたいし、ダメなヤツだなんて思いたくない。
でも本当は、苦手なこともたくさんある、だらけるのが大好きだし、空気を読めなかったり
気をつかえなかったりもする。恥ずかしいことも情けないこともたくさんある。
おそらく、それらが人生からなくなることはないし、自分でどうにかできることでもない。
どうしようもない。だってそれが「自分」なのだから。

何より一番は、「自分のことを好きになりたい」んですよね。
でも難しいんだけどね。
ただ、これからの人生の中、これまでの人生で何があっても、
「自分は自分の最大の味方でいよう」と思いました。
何があっても、自分だけは自分のことそ見捨てない。
そういった心持ちが、自分と仲良くなれる第一歩なんじゃないかな?と思いました。
(今まで、自分はダメなヤツだってたくさんいじめてごめんね。その時々で、自分のできる範囲で、自分の小さな頭で考えて生きていたのにね)

人生に疲れた人!!きっとこの本の中にあなたの気持ちに寄り添って「大丈夫だよ」って言ってくれる言葉があるはず。
全286ページで読み応えもあります。気になった方は是非読んでみてください!


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